波打ち際日記

主に詩を書きます。

手紙のような物

 

思った以上に大人になんてなれないし

相変わらず顔色が悪いんだ

あれから皮肉の言葉ばっかり覚えたけど

案外少年の心のままでいられるものなんだな

 

あの夏のあの午後の

教室のカーテンが揺れて中庭には君がいたんだ

可愛らしい弁当箱を持つ

君の隣にいるのは茶髪でサッカーのうまい彼

 

格好付けで始めたギターはまだ続けてるよ

言いたいことはだいぶ増えた

神経が弱くて体重は減った

届かないままに

向かい側の君は

嫌いだったあの歌を

今日は何故か口ずさみながら

雨が通り過ぎるのを待っている

 

あの日の僕ならば

それを聴いて目を閉じて

心の中、伴奏をそえて

ふたりだけの世界に浸るのだろう

 

今はその意味もなんとなしに

分かりかけた僕がいて

こころの青が悲鳴をあげて張り裂けそうになった